アライグマ駆除の報奨金制度をご存知でしょうか。農作物や住宅への被害が深刻化する中、多くの自治体がアライグマの捕獲に対して報奨金を支給しています。本記事では、報奨金の相場や申請方法、実際にもらうための条件について詳しく解説します。自力での駆除を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
アライグマ駆除で報奨金がもらえる理由
近年、アライグマによる被害が全国的に拡大しています。なぜ自治体は報奨金を支給してまで駆除を推進しているのでしょうか。
特定外来生物として駆除が推奨されている
アライグマは環境省によって特定外来生物に指定されています。もともと日本には生息していなかった外来種であり、生態系への悪影響が深刻です。農作物を食い荒らすだけでなく、在来種の生息域を脅かし、生物多様性を損なう存在として問題視されています。
繁殖力が非常に強く、一度定着すると急速に個体数が増加します。都市部でも目撃例が増えており、東京23区内でも生息が確認されています。放置すれば被害はさらに拡大するため、早期の対策が求められているのです。
鳥獣捕獲報奨金制度とは
鳥獣捕獲報奨金制度は、有害鳥獣の駆除を促進するために自治体が設けている制度です。アライグマのほか、イノシシ、シカ、ハクビシン、カラスなども対象となっています。
この制度の目的は、地域住民や猟友会の協力を得ながら、効率的に有害鳥獣の個体数を減らすことにあります。報奨金を支給することで駆除活動を活性化し、農業被害や生活環境の悪化を防ぐ狙いがあります。ただし、すべての自治体で実施されているわけではなく、制度の有無や内容は地域によって異なります。
アライグマ駆除の報奨金はいくらもらえる?
実際にどれくらいの報奨金がもらえるのか、具体的な金額を見ていきましょう。
報奨金の相場は2,000〜3,000円
アライグマの駆除報奨金は、1頭あたり2,000円から3,000円が一般的な相場です。自治体によっては3,000円から5,000円程度に設定されているところもあります。
報奨金の額は、その害獣が地域に与える経済的被害の程度によって決められています。イノシシやシカなど大型の害獣は2万円から3万円程度と高額ですが、アライグマはそれらと比べると控えめな金額設定となっています。
なお、報奨金には国からの補助金と自治体独自の予算が組み合わされているケースが多く、財源の内訳によって金額が変動することもあります。
自治体別の報奨金額一覧
実際に報奨金制度を実施している自治体の例をご紹介します。
鳥取県では、アライグマ1頭につき上限10,000円という高額な報奨金を設定しています。これは全国的に見ても特に高い水準です。
兵庫県加東市では、成獣・幼獣を問わず1頭あたり3,000円を支給しています。ただし、捕獲檻の中で死亡した個体は対象外となる点に注意が必要です。
大阪府富田林市は1頭につき2,000円以内、大阪府貝塚市は最大2,500円となっています。貝塚市の内訳は国から1,000円以内、市から1,500円です。
北海道深川市では2,000円から3,000円、栃木県鹿沼市では1頭1,000円と、地域によってかなりの差があることが分かります。
お住まいの自治体で報奨金制度があるかどうかは、市区町村のホームページや環境課、農林課などに問い合わせることで確認できます。
アライグマ駆除の報奨金をもらうまでの流れ
報奨金を受け取るには、正式な手順を踏む必要があります。主な流れを確認しましょう。
自治体への捕獲許可申請
まず、お住まいの自治体に有害鳥獣の捕獲許可を申請します。アライグマは鳥獣保護法で保護されている動物であり、無許可での捕獲は法律違反となります。
申請窓口は自治体によって異なりますが、環境課や農林課、鳥獣対策課などが担当していることが一般的です。申請用紙に必要事項を記入し、提出すると捕獲許可証が交付されます。
許可証には捕獲期間、捕獲場所、使用できる罠の種類などが細かく記載されています。これらの条件を守らなければ違法となるため、内容をしっかり確認することが重要です。
捕獲檻の設置と捕獲
許可を取得したら、捕獲檻を設置します。多くの自治体では箱罠を無料で貸し出しています。自分で購入する場合は、購入費用の補助制度を設けている自治体もあります。
捕獲檻はアライグマが出没する場所に設置し、餌でおびき寄せます。キャラメルコーンなど甘いお菓子が餌として効果的とされています。
捕獲できたら、すぐに自治体の担当職員に連絡します。職員が現地で確認し、捕獲した動物がアライグマであることを証明します。タヌキやアナグマなど別の動物が捕まった場合は報奨金の対象外となるため、放獣して再度捕獲を試みることになります。
報奨金の申請と受け取り
アライグマの捕獲が確認されたら、報奨金の請求書に必要事項を記入して自治体に提出します。
自治体によっては、アライグマの両耳や尻尾、捕獲時の写真、鳥獣捕獲活動書などの提出を求められることがあります。これらは駆除の証明として必要な書類ですので、事前に確認しておきましょう。
報奨金の交付時期は自治体によって異なります。捕獲後すぐに支払われるケースもあれば、年度末にまとめて支給される自治体もあります。申請時に確認しておくと安心です。
報奨金をもらうための条件と注意点
報奨金制度には、いくつかの制約や条件があります。事前に理解しておくべきポイントを解説します。
狩猟免許や許可が必要
アライグマを捕獲するには、基本的に狩猟免許が必要です。免許がない場合でも、自治体によっては講習会を受けることで捕獲が認められるケースがあります。
鳥取県のように、防除マニュアルに基づく講習を受ければ、狩猟免許を持たない人でも捕獲できる制度を設けている自治体もあります。ただし、これは例外的な措置であり、多くの地域では免許が求められます。
また、捕獲許可の申請には、土地の所有者や利用者であることが条件となる場合があります。他人の土地で勝手に罠を仕掛けることはできません。
すべての自治体で制度があるわけではない
報奨金制度は自治体ごとに独自に実施しているため、お住まいの地域に制度がない可能性もあります。
制度の有無は市区町村のホームページで確認できます。「アライグマ 報奨金 ○○市」や「有害鳥獣 捕獲 ○○市」などで検索すると情報が見つかります。ホームページに記載がない場合は、直接問い合わせてみましょう。
制度がない自治体では、捕獲檻の無料貸し出しや駆除業者の紹介など、別の支援策を用意していることもあります。
家に出たアライグマは対象外のケースも
重要な注意点として、自宅の屋根裏などに侵入したアライグマを駆除しても、報奨金がもらえないケースがあります。
報奨金制度の多くは、農業被害の防止を目的としています。そのため、農地での捕獲が条件となっている自治体が少なくありません。住宅地での捕獲は対象外とされることがあるのです。
また、報奨金は捕獲して殺処分した場合にのみ支給されるのが一般的です。追い出して侵入口を塞ぐだけの対策では報奨金は受け取れません。
自力でのアライグマ駆除は現実的か?
報奨金制度があるからといって、自力での駆除が簡単というわけではありません。現実的な側面を見ていきましょう。
捕獲には専門知識と免許が必要
前述のとおり、アライグマの捕獲には狩猟免許や自治体の許可が必要です。免許の取得には講習会への参加や試験合格が求められ、時間と費用がかかります。
また、アライグマは学習能力が高く、警戒心も強い動物です。餌だけを取って逃げてしまうケースや、そもそも罠にかからないケースも珍しくありません。確実に捕獲するには、動物の習性を理解した上で適切な場所に罠を設置する必要があります。
捕獲後の処分も自分で行わなければならず、精神的な負担も大きいでしょう。アライグマは狂犬病や寄生虫を保有している可能性があり、直接触れることには危険が伴います。
報奨金より駆除費用の方が高くつく可能性
報奨金は1頭あたり2,000円から3,000円程度ですが、駆除にかかる費用はそれ以上になることがあります。
捕獲檻を自分で購入する場合、1万円から3万円程度の初期費用がかかります。自治体の補助制度があっても、半額程度は自己負担となります。
さらに、餌代や交通費、許可申請の手数料なども発生します。何度も罠を仕掛け直す必要があれば、時間と手間も相当なものになります。
結果的に、報奨金で得られる金額よりも、かかる費用や労力の方が大きくなってしまうケースが多いのです。
アライグマ駆除は専門業者への依頼がおすすめ
自力での駆除が難しい場合、専門業者への依頼を検討しましょう。
専門業者に依頼するメリット
専門業者は豊富な経験と専門知識を持っています。アライグマの習性を熟知しているため、効率的に駆除を進めることができます。
業者に依頼すれば、捕獲だけでなく侵入口の封鎖や再発防止策まで一貫して対応してもらえます。アライグマを追い出した後、同じ場所から再侵入されるのを防ぐには、徹底した封鎖作業が欠かせません。
また、糞尿の清掃や消毒、ダニなどの害虫駆除といった衛生対策も行ってくれます。屋根裏が汚染されている場合、素人が清掃するのは健康上のリスクがあるため、プロに任せる方が安全です。
許可申請の手続きも業者が代行してくれることが多く、手間を大幅に削減できます。
業者選びのポイント
アライグマ駆除の実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。経験が少ない業者では、一時的に追い払うことはできても、すぐに再侵入されてしまう可能性があります。
複数の業者から見積もりを取り、料金を比較しましょう。相場から大きく外れた業者は避けた方が無難です。見積もり内容を詳しく確認し、追加料金が発生しないかも確認しておきましょう。
アフターフォローや保証内容も重要なポイントです。駆除後に再発した場合の対応や、保証期間の長さを確認しておくと安心です。
地域密着型の業者は、その地域のアライグマの生態や出没パターンに詳しいため、効果的な対策を提案してくれます。
まとめ
アライグマ駆除の報奨金は、自治体によって1頭あたり2,000円から10,000円程度支給されています。しかし、報奨金を受け取るには狩猟免許や捕獲許可が必要で、実際の駆除作業には専門知識と経験が求められます。自力での駆除は時間と費用がかかる上、確実性に欠けるため、専門業者への依頼が現実的な選択肢といえるでしょう。アライグマ被害でお困りの方は、まずは信頼できる駆除業者に相談することをおすすめします。


